【コラム】負担付で財産を遺す

東京遺言相続相談センターの今西です。

遺言の作成を検討されている方の中には、ご自身の死後、配偶者が生活に困らないよう子どもに面倒をみてもらいたいと望んでおられる人も多いのではないかと思います。
その様な場合に、遺言によって財産を受け取る者(受遺者)に、配偶者の生活費の一部を負担させるなど、法律上の義務を負担させるような内容の遺言を「負担付遺贈」といいます。
例えば、長男に対して、多めに財産を遺すから、お母さんの面倒をみてくれよ。というものです。「毎月生活費として〇〇万円渡す」など、具体的な方法は様々です。

この負担付遺贈ですが、有用ではありますが、中には受遺者が遺贈を受けたにも関わらずきちんと面倒をみてくれないという問題もしばしば見受けられます。その様な場合は、受遺者に対して相当の期間を定めて負担した義務の履行を催告ができ、期間内に義務の履行がないときは、当該負担付遺贈にかかる遺言の取消を裁判所に請求ができるものとされています。とは言え、上記のような例でいえば、親子間(お母さんと長男)で義務の履行だのなんだというやり取りは避けたいものです。遺言者が負担付遺贈を検討する際は当然一定の信頼が担保されていることがほとんどだとは思いますので、万が一の場合に備えるのであれば、遺言執行者を指定しておくと安心でしょう。遺言執行者も同様に催告や裁判所への取消請求ができるものとされています。

◇受遺者は遺贈を放棄することができる
受遺者には遺贈を放棄することが認められていますので、負担付遺贈を検討する際は、遺す財産と受遺者が負うことになる負担とのバランスを考え、負担が重くなりすぎないように注意する必要があります。

◇他の相続人とのバランスにも配慮する
負担付遺贈は他の相続人(遺留分権者)の遺留分を侵害することはできませんので、そのあたりにも注意しなければなりません。ただ、負担付遺贈を考えた場合、バランスのいい遺言を作るというのもなかなか難しいとは思います。遺留分を侵害しないまでも、他の相続人が相続する財産が少なくなってしまう場合などは、「付言」によって、なぜそのようにしたかなど、遺言者の思いをあわせて記載することで、納得してもらい、紛争を未然に防ぐことへの配慮も必要かと思います。

 

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