遺言とは一言で言えば、個人の生前の意思をその死後に実現させる
ための制度で、満15才以上の者であれば、誰でも自由に遺言するこ
とができます。遺言は、家族の事情、家業の実態などに合わせて、
相続人に対して遺産を合理的に配分したり、あるいは、相続人以外
の個人、法人、公益団体等に対し遺産を与えたり寄付したりするこ
とができるなど、多様な機能を持っています。
日本では、遺言があれば民法の法定相続より優先するのですから、
これからは「財産を残すなら、遺言も残す」ということが常識とな
ってくると思います。遺言がない場合の法定相続は、遺産分割協議に
よって行われますが、遺産分割協議の場では、相続人が自分に都合の
よい主張をしがちで、話合いの付きにくいことが少なくありません。
自分の子供たちに限って仲違いをするはずがないという考え方は、被
相続人の死後には通用しないことも覚悟すべきでしょう。
遺言をしておけば、遺産にからむ争いを少しでも防止できますし、
残された相続人も遺言者の意思に沿った遺産の配分を円滑に実現させ
ることができます。