相続放棄をしたほうが良いケース

相続が発生した時に、借金等の負債しかない、または亡くなった方が第三者の保証人になっていた等の事情がある場合、相続放棄を検討することも一つの手段です。しかし、相続放棄をした場合のデメリットも検討しなければなりません。ここでは、相続放棄をした場合のメリット、デメリットを示していきます。

 

1、相続放棄のメリット

相続放棄のメリットについては、前述したように下記の点があります。

  1. 債務を相続しない。
  2. 相続の争いから解放される。
  3. 全ての債務を相続人のうちの一人に集中させる。

 

2、相続放棄のデメリット

(1)相続放棄の結果、新たな相続人が出てくることがありえる。

これは割と知られていないことですが相続放棄をお考えの場合にはまず注意しなければならない重要なポイントです。

相続放棄をした場合、その人は、最初から相続人でなかったことになります。この場合、同一順位の他の相続人がいれば、その残った人が相続人のままです。しかし、同一順位の相続人がいない場合、次の順位の相続人に、相続する権利がまわります。

具体例

  1. 亡くなった夫には、妻と子供一人がいる。
  2. 夫の父母は亡くなっている。
  3. 夫には、弟がいる。
  4. 夫には借金があったので、妻と子供が相続放棄をした。

この場合、妻と子供が相続放棄をすると、次の順位の相続人は、夫の父母になりますが、その父母も亡くなっているので、次の順位の相続人である夫の弟が、相続人となります。夫の弟としては、思いがけず兄の借金を背負わされることになります。結果として、親族の仲が悪くなることにもなりかねません。

(2)相続放棄の撤回はすることができない。

相続放棄は家庭裁判所で受理されると、撤回することができません。

たとえ、相続放棄をした後で実は高価な相続財産があったことが判明しても、 それを理由に撤回することはできないのです。これは、相続放棄が、被相続人が死亡したときにさかのぼって相続人でないこととする制度であるため、容易に相続放棄の撤回を認めると混乱が生じてしまうためです。

但し、他の相続人から犯罪行為(脅迫された、騙された等)をされたことにより相続放棄をした場合は、取消をすることが認められています。

(3)相続財産を一切相続することができない。

相続財産には、プラスの財産とマイナスの財産がありますが、相続放棄をすると、マイナスの財産とともにプラスの財産も相続することができなくなります。

もし、マイナスの財産がプラスの財産の範囲内の場合、限定承認という方法もありますが、限定承認は相続人全員で行わなければいけない制度なので注意が必要です。ともあれ、相続財産の調査をしっかりとしたうえで、相続放棄を選ぶか、判断すべきでしょう。

 

このように、相続放棄のメリット、デメリットを示してきましたが、ご自身で判断されるには難しいと思われる場合は、なるべく早めに司法書士等の専門家に、ご相談されることをお勧めいたします。

 

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