◇遺言とは
遺言とは、法的に言えば被相続人の最後の意思表示であり、自分の意思を遺産の承継に関して遺すことができ、またそれを遺すことによって、相続人間の無用な争いをさせない効果や相続人がすべき手続き等の手間を軽減させる効果があります。
遺言作成において大切なことは、自分の亡き後、世話になった人にどのように財産を残すかという最初の思いとともに、どのように分配すれば円満な財産承継ができるだろうかということでしょう。何もしなければ法定相続といい、通常法律で定められたとおりに承継されますが、自分が生涯かけて築いたものは、許される限り自分の思い通りに継がせることがより良い選択ではないかと考えられます。
また、どの様な遺言を遺すかを考えることは、ご自身にとって本当に大切人は誰か、ご自身が亡くなった際にその方々にきちんと報いることができるのかを真剣に考えるなど、ご自身の今後の人生の指針を立てるよいきっかけにもなります。
この様に遺言は、ご自身の大事な家族、大事な人をいざというときに守るために、そして何よりもご自身の今後の人生をより充実したものとし、よりよく生きるために必要なものではないでしょうか。
◇遺言書はいつ作成するのか
遺言に似たものとして遺書がありますが、遺書は死後のために自分の思いを書き残す文書であり、死の直前に書くことが多く財産の処分について触れる場合もありますが、遺言のように確定的に法的効果をもたらすことを目的としているものではありません。
遺言の方式はいろいろありますが、思い立ったらなるべく早めに準備に取り掛かることをお勧めいたします、何かと作成しているうちに、相続税はどのくらいかかるのだろうか、子供にはすべて平等に残したいが健康が優れず仕事に困っている子には他の子よりも多めに残してあげたい、子供がいないので妻に全部残してあげたいがどのようにしたらよいか、身の回りの世話を献身的にしてくれた子供には他の子供より多く残したいが、等々、いざ取り掛かると心配事が出てきてしまい心身ともに負担がかかって参りますので、出来れば元気なうちに取り掛かるのがよいと思います。
◇ご家族の方に
遺言作成につきましては、当然のことながら作成することを強要することは出来ません。
あくまで遺言する方の自由意思に任せるほかありませんが、ご家族が集まった際に相続の話題になることもあるかと思います。
遺言者がどなたの意見も借りずただひたすら専念されている場合は助言を挟む余地はありませんが、内容が法律で定められたものに乗っ取っていなければ後に無効となってしまうおそれもありますので、ご本人が作成にあたり困られている場合は積極的に協力をしたり、司法書士などの専門家に一度相談してみることを勧めたりすることが望ましいと考えられます。実際にご家族の方に勧められて相談に来られる方は多くいらっしゃいます。
また、ご家族の方々は、ご本人がまだまだ元気だし、遺言書作成はいつでもできるだろうと思いがちですが、現実には作成のチャンスというものはあるようでなかなかそのタイミングは限られる場合が多いのです、したがって身の回りの世話をする中で、いつでも作成に協力できる心の準備が大切ではないかと思います。
当事務所の取り組み
当事務所では、遺言をする方の意思を第一に尊重しつつ、専門家の立場から法的に問題はないか、相続人間で争いが起こるおそれはないかなどに配慮し、かつ「あたたかみ」のある遺言書作成ができるよう心を込めて支援していく所存でおりますので、まずはお気軽にご相談ください。