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【事例】相続登記を放置してしまった結果
こんにちは、東京遺言相続相談センター今西です
相続財産に不動産が含まれていることは珍しいことではありません。
また、相続による名義変更登記を放置している方も決して少なくはないでしょう。
次の事例は相続人が「放っておいてもいずれ自分のものになるだろう」と
思い込んでいた為、大変なことになったケースです。
母親、父親が亡くなり、相続登記をしないまま後妻が亡くなった。
父親の財産はいくらかの預金と子Bが居住している土地及び建物。
少なくとも父親が亡くなった時点で依頼人Bを含めた子たちが後妻と共に遺産分割協議をしておけば、
子3名の希望通りBが単独相続できる可能性もあった。しかしながら、Bは後妻には子がおらず、
その他の身内(法定相続人)もいないと思い込んでいた為、いつか相続登記をすればいいものだと考え放置した。
やがて後妻が亡くなったところで、いざ相続登記を進めようと思い、専門家に相談したところ、全く知らない
後妻の高齢の兄弟5名(うち2名は死亡)が法定相続人となるということが判明した。この後妻の兄弟に法定相続分
を請求された場合には、後妻死亡後に当然相続できると思っていた不動産(B居住)を売らなければならなくなる可能性も出てくる。
このように相続登記をせずに放置していると、いざやろうとした時に思わぬ相続人の存在が発覚することがあります。
相続人は時間がたてば基本的に増えるというと考えられ、増えればそれだけ手間や心労も増えることになります。
義務であったり、期限があったりというものではありませんが、なるべくなら相続登記は早いうちに、相続人が
少ないうちに済ませておくことをお勧めします。
【事例】家族信託導入例その①
実家の管理
父;他界
母:80歳
長女:58歳(相談者)
次女:55歳
【相談内容】
父はすでに他界しており、実家には高齢の母が一人で暮らしています。その母が最近、MCI(軽度認知障害)の診断を受けてしまい、将来的には高齢者施設等へ入所が予想されます。このまま何もせずにいた場合、実際に施設へ入所した際空家になってしまう実家のこと、施設利用料など金銭的なことがどうなってしまうのか心配しています。
Ⅰ、対策を講じなかった場合
将来的にお母さまの判断能力が喪失してしまった場合、お母さまの預金は引き出せなくなってしまいます。またご実家を
賃貸もしくは売却等をして施設利用料に充てることもできなくなってしまいます。
家族信託を活用した対策例
委託者:母(財産を託す人)
受託者:長女(財産を託される人)
受益者:母(信託財産に属する利益を得る権利を有する人)
・財産の所有者であるお母さまを「委託者」、長女を「受託者」、そして「受益者」をお母さまに設定し、自宅と金融資産を信託財産とした信託契約を母と長女で締結します。
・結果として不動産の名義は長女へ、預金は信託専用口座にて長女が自身に属する財産と分別して管理し、契約内容に従い管理、運用、処分を行います。委託者と受益者が母であり、名義のみ委託者である長女とする信託契約であるため、不動産取得税、贈与税、譲渡所得税等は発生しません。
・お母さまは受益者として引続き自宅に住み、必要に応じて受託者である長女より信託金融資産から給付を受けることができます。お母さまが施設へ入所された際は長女の判断にて自宅を処分し、信託金融資産へ充当、施設の利用料等に充てることが可能になります。
・契約終了事由を「お母さまの死亡」おしていた場合、お母さまの死亡により信託契約は終了します。終了時の残余の信託財産についてもその帰属先を契約に定めることができます。例えば長女と次女で二分の一ずつとなっていればその通りに帰属させることになります。
以上により、お母さまの判断能力が失われてしまったとしても信頼できる家族が財産を管理、処分することが可能になります。これは認知症対策として家族信託を活用するパターンの一つとなりますが、このようなパターンの家族信託を「福祉型信託」ともいいます。家族信託はこのほかにも様々なパターンがあり、家族関係、財産状況、ご希望によって変わってきます。また、上記のケースでの場合、当事者は母と長女ですが契約にあたっては事前に次女への説明、了解を得ておくことがトラブル回避の観点から望ましいと思います。後見人制度と比べ自由度の高い家族信託ですが裏を返せば信託契約内容によっては、締結後、受託者の一存で自宅を売却してしまうことも可能になってしまいます。当センターでは信頼関係の確認、法務・税務からの検討、入念なヒアリング、ご家族への説明等を必須とし、その他の対策手段である遺言。生前贈与、任意後見などとの比検討も行った上でお客様一人一人のご希望に沿ったご提案を心がけております。
「家族信託ってどんなもの?」といったシンプルなご質問でも構いません、どうぞお気軽にお問合せ頂けると幸いです。