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【コラム】遺言は誰でもできる
遺言とは一言で言えば、個人の生前の意思をその死後に実現させる
ための制度で、満15才以上の者であれば、誰でも自由に遺言するこ
とができます。遺言は、家族の事情、家業の実態などに合わせて、
相続人に対して遺産を合理的に配分したり、あるいは、相続人以外
の個人、法人、公益団体等に対し遺産を与えたり寄付したりするこ
とができるなど、多様な機能を持っています。
日本では、遺言があれば民法の法定相続より優先するのですから、
これからは「財産を残すなら、遺言も残す」ということが常識とな
ってくると思います。遺言がない場合の法定相続は、遺産分割協議に
よって行われますが、遺産分割協議の場では、相続人が自分に都合の
よい主張をしがちで、話合いの付きにくいことが少なくありません。
自分の子供たちに限って仲違いをするはずがないという考え方は、被
相続人の死後には通用しないことも覚悟すべきでしょう。
遺言をしておけば、遺産にからむ争いを少しでも防止できますし、
残された相続人も遺言者の意思に沿った遺産の配分を円滑に実現させ
ることができます。
【コラム】法定相続情報一覧図
こんにちは、東京遺言相続相談センター今西です。
相続手続きは不動産の相続登記の他にも、預金や保険金、有価証券など様々な手続きが必要になります。
どの手続きも相続人確定の為にまず必要になるのが被相続人の出生から死亡までの戸籍です。
以前はこの戸籍のセットを手続毎に取り付けるか、一つ終わったら返却してもらい次の手続きに使用するなど、
非常に手間も費用もかかるものでした。預金が複数の金融機関にある場合などは尚更です。
これを解消できるのが近年取得可能となった法定相続情報一覧図であります。
相続が発生した際はまず法務局にてこれを取得しておくと便利です。
取得のために上記の戸籍を一度は集めて提出する必要がありますが、
それを行えば法定相続情報一覧図は無料にて何通でも取得できますので、
例えば金融機関が3つであればこれを3通取り付けておけば、
相続人確定資料として戸籍の束を窓口ごとに取り付けたり、使い回したりする代わりにこれを添付すれば済むのです。
【コラム】財産を全て換金して分配したい
東京遺言相続相談センターの今西です。
相続財産が現金や預貯金であれば、それを相続人に分割して相続させることはそう難しくはありません。平等に分けるもよし、割合を変えるもよし、自由に選択することができます。
しかし、財産というものは、そのもの自体を思い通りに分割できないものも多いのが現実です。不動産や前回記載した自動車などはその典型と言えるでしょう。このような財産を誰が相続するのか、またそれはどれぐらいの価値なのか、平等に分けるためにはどうしたらよいのか、など、このようなことを決めることはなかなか難しいものです。
◇どうやって分ける?
例えば主な財産が自宅不動産だけで子供たちは皆独立しており、将来誰も住む見込みがないというケースを考えてみましょう。
遺言がなければ当該不動産は相続人全員が共同で相続することになります。一度共同で相続をすると、「使いみちが無いので売却したい」となった場合でも相続人全員で足並みを揃えなければ話を進められません。相続人の中に疎遠になっている人や行方不明者がいると困難を要します。やがて相続人のうちどなたかが亡くなると、通常その方の持ち分はその方の相続人へと移っていきますので、さらに面倒なことになってきます。我々専門家が相続に於いて「なるべく共有名義は避けた方がいい」とアドバイスさせていただくのはこのような理由が大きいです。
したがって、なるべくなら遺言にて特定の相続人に相続させるようにするか、遺言が無い場合は相続開始後すみやかに相続人全員での遺産分割協議にて誰が相続するかを決定することが望ましいといえるでしょう。
一方、遺言によって相続人の一人に不動産を遺したとしても、受け取れなかった相続人に不満が残ることもありますし、受け取った相続人にとっても必ずしも望むところではなかったということも当然考えられます。利用しなかったとしても固定資産税などの支払はしなければなりません。遺産をめぐる争いや問題は、この「分けられない財産をどうやって分けるか」ということに起因していることが多く、昨今の空き家問題はこのようなことも原因の一端と言えるでしょう。
◇財産を全て処分してお金で分ける
上記のようなケースでは、財産の全部または一部について、死後に売却・換価処分して現金化し、これを相続人に相続させる、あるいは相続人以外の人に遺贈するという内容の遺言を作成することを検討しましょう。現金化された財産の分配方法は自由に定めることができます。ただ、遺言の作成時点では処分後の財産の価額は分かりませんので、割合を指定しておくことが一般的です。その際は新たなトラブルの原因とならないよう、遺留分には注意が必要です。
また、相続発生後に相続人において売却・換価処分をして現金で分けるという方法もあります。この場合は遺産分割協議にて換価の為一旦相続人の内の誰かが相続して単独名義になっているとその後の売買契約等もスムーズにできます。
財産を処分する場合は費用が掛かりますし、税金が掛かる場合もあります。これらの費用は処分して得られた代金から差し引いておくことを遺言や分割協議書に定めておいた方がいいでしょう。
このように分けることができない財産をお持ちの方、相続された方のお困りごとはお気軽に東京遺言相続相談センターまでご相談下さい。ご意向をしっかりとうかがった上で、お一人お一人に最も合った方法を検討させて頂きます。
【コラム】自動車を相続したら
こんにちは、東京遺言相続相談センターの今西です。
亡くなられた方から相続して、思っていたより手続きが面倒なのが自動車の名義変更です。
相続された方のお住まいによっては管轄も変わりますので、ナンバープレートの変更も必要になるケースもあります。
仮に名義変更せずにそのまま使用していたとしても、将来売却したり、廃車にすることになった際に、まずは名義変更をしなければならなくなります。時間が経てば相続人の状況は変わっていくもので、例えば相続人の内の誰かが認知症になってしまった場合などは手続が思うように進まなくなってしまいます。ですのでなるべく相続されましたら速やかに名義変更をされることをおすすめいたします。
移転登録申請の提出先は一般的には相続した人の住所を管轄する運輸支局などになります。
添付書類については売買などの通常のケースにに比べ少し複雑になります。
一般的な必要書類は以下のようになります。
・車検証
・車庫証明書(相続する方が被相続人と同居の家族で保管場所に変更がない場合は省略できます)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本(出生から死亡まで)
・相続人全員の戸籍謄本
・遺産分割協議書、遺言書(遺産分割協議書は相続人全員の筆印が必要です)
・新たな名義人となる相続人の印鑑証明書
*車庫証明書は管轄の警察署で取得します。
東京遺言相続相談センターでは自動車の相続手続につきましても行政書士が代行させて頂いておりますので、
お気軽のご相談下さい。
【コラム】負担付で財産を遺す
東京遺言相続相談センターの今西です。
遺言の作成を検討されている方の中には、ご自身の死後、配偶者が生活に困らないよう子どもに面倒をみてもらいたいと望んでおられる人も多いのではないかと思います。
その様な場合に、遺言によって財産を受け取る者(受遺者)に、配偶者の生活費の一部を負担させるなど、法律上の義務を負担させるような内容の遺言を「負担付遺贈」といいます。
例えば、長男に対して、多めに財産を遺すから、お母さんの面倒をみてくれよ。というものです。「毎月生活費として〇〇万円渡す」など、具体的な方法は様々です。
この負担付遺贈ですが、有用ではありますが、中には受遺者が遺贈を受けたにも関わらずきちんと面倒をみてくれないという問題もしばしば見受けられます。その様な場合は、受遺者に対して相当の期間を定めて負担した義務の履行を催告ができ、期間内に義務の履行がないときは、当該負担付遺贈にかかる遺言の取消を裁判所に請求ができるものとされています。とは言え、上記のような例でいえば、親子間(お母さんと長男)で義務の履行だのなんだというやり取りは避けたいものです。遺言者が負担付遺贈を検討する際は当然一定の信頼が担保されていることがほとんどだとは思いますので、万が一の場合に備えるのであれば、遺言執行者を指定しておくと安心でしょう。遺言執行者も同様に催告や裁判所への取消請求ができるものとされています。
◇受遺者は遺贈を放棄することができる
受遺者には遺贈を放棄することが認められていますので、負担付遺贈を検討する際は、遺す財産と受遺者が負うことになる負担とのバランスを考え、負担が重くなりすぎないように注意する必要があります。
◇他の相続人とのバランスにも配慮する
負担付遺贈は他の相続人(遺留分権者)の遺留分を侵害することはできませんので、そのあたりにも注意しなければなりません。ただ、負担付遺贈を考えた場合、バランスのいい遺言を作るというのもなかなか難しいとは思います。遺留分を侵害しないまでも、他の相続人が相続する財産が少なくなってしまう場合などは、「付言」によって、なぜそのようにしたかなど、遺言者の思いをあわせて記載することで、納得してもらい、紛争を未然に防ぐことへの配慮も必要かと思います。
【コラム】おひとり様の遺言
東京遺言相続相談センターの今西です
今年のGWは天気にも恵まれて、人出もすごかったですね。
新緑が輝いていてとても気持ちがよかったです。
さて、連休明け一つ目のコラムは「おひとり様の遺言」について書かせていただきます。
身寄りがないわけではないけれど、夫(妻)がいなく、子どもも孫もおらず、お一人で生活されている方が近年増えているといわれています。
① おひとり様の相続人は?
配偶者も子ども(孫)もいない場合、相続人は、まずは両親、両親ともに他界している場合には祖父母、祖父母も他界している場合には兄弟姉妹の順となります。兄弟姉妹がすでに死亡している場合にはその子(甥・姪)が相続人となります。
したがって、両親祖父母はすでに亡く、兄弟姉妹(または甥姪)だけがいるという場合は、遺言がなければ財産は全て兄弟姉妹が相続することになります。
しかし、兄弟姉妹とは疎遠とはいわないまでも、すでに長く別々に暮らしており、ご自身の築いた財産を全て兄弟姉妹に遺すことにどこか抵抗があるという方も少なくはないと思います。
② 兄弟姉妹には遺留分がない
相続人の一部には「遺留分」といって、遺言によっても奪うことのできない相続財産に対する一種の権利が認められています。そのため、遺留分を侵害する内容の遺言がなされた場合、遺留分を持つ相続人は、侵害された遺留分を戻せという請求「遺留分減殺請求」をすることができます。
この遺留分は兄弟姉妹や甥姪には認められていません。その為、相続人に兄弟姉妹あるいは甥姪がいたとしても遺言作成において遺留分に配慮する必要はないということになります。
③ 財産処分は自分で決める!
遺言とは、死亡時における自分の財産を処分方法を自ら決めておくということに他なりません。②の通りおひとり様で、かつ相続人が兄弟姉妹(甥姪)のみの場合は遺留分に配慮する必要がないのですから、積極的に遺言を作成を検討されてもよろしいかと思います。もちろん兄弟姉妹や甥姪に遺すでもよいですし、お世話になった方に財産を贈ったり、母校や孤児院、公共活動を行う団体に寄付をするなど、自由に財産処分をデザインすることができます。
ただ、そのような遺言を作成した場合には、ご自身が亡くなった後に遺言の内容を実現する人が必要になります。これを遺言執行者といいますが、遺言によって指定がなければ相続人が行うのが原則ですが、それでは結局相続人(ここでは兄弟姉妹、甥姪)にやってもらわなければならなくなります。そこで遺言作成の段階で、遺言執行者の指定についての検討も必要となります。身の回りの信頼できる方に指定することもできますが、司法書士などの専門家を遺言執行者に指定するケースも一般的と言えるでしょう。
東京遺言相続相談センターでは、このようなおひとり様の財産処分に関する様々なご相談を承っております。出張相談もお受けしておりますので、ご自身の財産の処分方法等、お悩みごとがありましたらお気軽にご相談下さい。ご希望に合わせて、どの様な方法がベストか一緒に検討していきましょう!
【コラム】相続人以外に財産を残したい
東京遺言相続相談センターの今西です
遺言書を作成することによって実現できることの一つとして「相続人以外に財産をのこす」
というものがおります。
遺言書がなかった場合、財産は法定相続人によって相続されることになります。
自分が大切に想っている人が法定相続人でない場合、遺言書が無ければその人に
財産を残すことはできません。
しかしながら、法定相続人以外に、自分の財産を取得させていということもあるでしょう。
例えば
・内縁の妻(夫)
・配偶者の連れ子(養子縁組した場合は法定相続人になります)
・子の配偶者
・先順位の相続人がいる場合の後順位の相続人(子がいる場合の父母や子が存命中の孫など)
・世話をしてくれた知人等
などです。
そのような場合には、遺言書を作成することによって自分の財産を取得させる(遺贈)ことが可能
となります。
この際、気を付ける点として「遺留分」があります。遺留分とは簡単に言うと、配偶者など
一定の範囲にある相続人には、遺言によっても奪うことのできない相続財産に対する割合部分がある
というものです。この遺留分が侵害されている場合は、相続人から遺留分減殺請求を受ける可能性が
ありますので注意が必要です。
また、法定相続人以外が遺贈を受ける場合、相続税の2割加算など税金面にも配慮が必要です。
遺贈を受ける人を受遺者といいますが、受遺者は遺贈を承認するか、放棄するかを自由に選択できます。
自身が想い、願いを込めて作成した遺言によって法定相続人以外の人に財産を残した(遺贈した)としても、 それを受け取る側(受遺者)に納税資金が無い場合などは遺贈を放棄するという選択をせざるを得なくなるという事態も考えられますので、できることならこの様な遺言を検討される際は法務的、税務的な観点から 実現可能なものを作成して頂くことが望ましいと考えます。